営業に限った話ではないのですが、転職活動においては自分から動くのではなく企業側からの働きで転職できるというケースがあります。その最も代表的な例がスカウトやヘッドハンティングです。営業職はスカウト・ヘッドハンティングによって転職するというケースも少なくありません。

相手側からのアプローチがなければいけないので、自分が対象になるかどうかは運と実力、行動次第ではあります。しかしスカウトやヘッドハンティングも必ず受ければいいというものではなく、メリット以外にデメリットも存在するのです。

では、営業においてスカウト・ヘッドハンティングはどのような実態になっていて、自分がされた際にどういう対応をすればいいのでしょうか。

スカウト・ヘッドハンティングとは

スカウトというとモデルやアイドルが街頭で企業に誘われるイメージがありますよね。ヘッドハンティングというと他企業からの「引き抜き」というイメージがあります。このように、どちらも同じような意味で使わていますが言葉の意味としては少し違ってきますが、ここで明確に違いを強調する必要はありませんので同義という前提で話を進めます。

転職の1つの方法であるヘッドハンティングは企業側が直接相手を勧誘するという行為です。ヘッドハンティングされるということは相応の実力者である証明であり、受ければ必ず採用されるだけでなく有利な条件で転職できる可能性が高くなります。

ヘッドハンティングの方は悪い言い方をしてしまえば「引き抜き」に該当する行為であり、違法ではありませんが問題となるケースが存在するのも事実です。国内に比べるとアメリカの方はよりアグレッシブであり、時には会社の顔となる社長が対象になることもあります。

このヘッドハンティングは企業の幹部自体が直接行うケースもあれば、ヘッドハンターという専門の立場の人間がすることも多いです。海外に比べるとまだヘッドハンティングが盛んではないといえど、ヘッドハンターの数自体も決して少なくはないのが今の業界となっています。

営業におけるヘッドハンティングの実態

営業の世界においてヘッドハンティングが多い種類としては保険会社が該当します。保険会社の場合は特に生命保険を取り扱っているところは確実といってもいい程されていて、大抵の場合に勧誘される際には企業名が伏せられてされるのです。

ヘッドハンティングが行われる方法は本当に様々であり、電話で勧誘することもあれば飲みの席で勧誘されることもあります。逆に言えばする側の企業もチャンスを計らってあの手この手で優秀な人材を誘いたいという思惑があるという話です。保険でも主に外資系が多いとされています。

プルデンシャル生命のヘッドハンティングから見る保険会社の実態

現に外資系としてプルデンシャル生命という企業がありますが、ここはアメリカ最大の保険会社と称されているところです。最大の保険会社ということは当然そのセールスをする営業マンも優秀な人間揃いであり、形態としても完全実力主義となっています。若い若くない関係ありません、実力が全てです。

優秀な人間が揃っていることから連想できるように、プルデンシャル生命はヘッドハンティングが頻繁に行われている会社になっています。プルデンシャル生命に入るにはヘッドハンティングしか方法がないと言われる程のものです。しかしその一方でヘッドハンティングによる入社が多いためか向いていないと感じて離職する人間も多く、離職率が高いのが実態となっています。

プルデンシャルを例に出しましたが実は外資系の保険会社はヘッドハンティングが多いが、同時に排出される人間、離職率が多いのも現実です。長く残っている方が珍しい話であり、5年も経てば50、半分の確率で既に企業から姿を消しているというケースも珍しい話ではありません。

そのためプルデンシャルだけでなくアリコやアフラック、ジブラルタといった企業もヘッドハンティングが多い、離職率が高いに該当します。生命保険業界は離職率が高いとされていますが、特に外資系の保険会社は通常のよりも高く人の入れ替わりが頻繁に行われているのです。

後はスカウト、ヘッドハンティングはどちらもいい方向にされるとは限らない話です。特に生命保険は外資系の離職率を見れば分かるように中には長く利用することを考えずに「一時的」な目的で勧誘することもあります。具体的な企業名は出しませんが、とあるところは一部が「首切り予備」として運営されていることもあるのです。

人材不足のためのヘッドハンティングもある

中には実力ではなく人材が不足しているためその補充として行っている企業もあります。これに関しては特定の保険会社がそうという話ではなく、離職率が高いという都合でやっている会社も存在するのです。そのためヘッドハンティングが来たとしても必ず喜べるわけではありません。

特に外資系ではなく日系の場合にはこのケースも珍しくはないと考えていいでしょう。過去に生命保険業界では保険料未払いの問題が出ていて日本生命を始めとしてソニー生命、住友生命とコマーシャルや広告でもその名を見かけることが多い有名なところも該当していました。

これ自体は氷山の一角ですが、こうしたことの積み重ねもあって日系の生命保険はイメージが悪くそれ故に転職で選ぼうとする人もあまりいないのです。そうなると人材も不足することになり、その状態となればヘッドハンティングも実力云々ではなく人材補充を目的としてされることが多くなります。

自分にスカウト・ヘッドハンティングの話が来た場合には

このような実態から分かるように、スカウト・ヘッドハンティングは自分の実力関係なしに来る場合があります。形態は様々ですがいずれにしてもその話を受けるかどうか相手の話も聞きつつ選択が迫られることになるのです。

ヘッドハンティングの話があったとき、まずはその企業について知らなくてはいけません。というのも、スカウトやヘッドハンティングでは企業名が伏せられて勧誘されることが多いのです。伏せられたまま転職してしまえば問題のある企業に誘われてしまうリスクも存在するため、相手から提示された情報を基にどこの企業かを予想する必要があります。

分かりやすいのが従業員の規模がどれくらいかを見ることであり、それと会社の情報を照らし合わせればそこから分かる場合があるのです。従業員の規模でも分からない場合には次に売上を見るのがいいでしょう。売上であれば従業員以上に企業によってバラツキが多くなり、より分かりやすくなります。

この2つでも分からない場合には相手から提示された年収によって判断してみるといいです。提示された金額によってその企業の水準がある程度判断できるだけでなく、自分がどれくらいで買われるのかの判断もすることができます。それは実力か人材補充が目的かを判断する材料にもなるのです。

こうしたどこの保険会社かを判断する場合にはその会社達の情報が必要不可欠となります。営業で仕事をしているのであればこうした生命保険の会社情報を仕入れておくといいでしょう。

ヘッドハンティングを受けるメリット

条件の良い転職が可能

実力を見込まれて勧誘された場合は相手側からこちらを求めるために少々無理な希望が通りやすくなります。そのため普通に転職するより待遇がいい条件で転職しやすくなるのです。こちらが希望するという関係で以前の仕事よりもいい条件で仕事ができる可能性が高くなります。

転職活動をする必要がない

誘われたという都合上、ほぼ確実に転職をすることができるのも大きなメリットです。そのため転職活動の対策をほとんどしなくてもいいようになります。逆に言えば面接やら何やらがある場合にはヘッドハンティングとは名ばかりの勧誘をしているという証明にもなるのです。

ステップアップが見込める

実力を見込まれて雇用される関係でその実力相応の仕事が期待されることもあります。そのため新しい仕事場で実力に応じた仕事を行うことができ、更なるステップアップを期待することができるのです。それは立場の工場、待遇を更によくするチャンスにも繋がります。

ヘッドハンティングを受けるデメリット

自分に悪評がつく可能性がある

冷静な目で見るとヘッドハンティングによる転職は意外とデメリット面の方が大きいのです。というのも営業職は他との関わりが強い仕事であり、ヘッドハンティングを受けたとなれば今の企業から別の企業へと移ることになります。これは見方を変えると今の企業を「裏切る」という形になるのです。

そのような形となれば仕事をしていく上で前の企業が関わってくることになれば非常に仕事がし辛いものになってしまいます。

そうでなくても「裏切って」別のところに行ったとなれば実力はともかく、評判としては決していいものではなくなるでしょう。評判に支障が出ればそれは営業の仕事にも悪い影響を与えることになるのです。

自分と相性の悪い仕事を任されることもある

ヘッドハンティングは実力を買われて雇用されることになりますが、その実力が正確に買われて雇用されるとは限りません。そのため雇用されたとしても自分の実力に合う仕事が任されるとは限らないのです。場合によっては相性が悪い職種の営業を任されるというケースも出てきてしまいます

今までとは違う新しい職場で仕事をすることになるのも一種のデメリットで、環境が大きく変わってしまうことで仕事が上手くできなくなるということもあるのです。慣れれば解消されることはありますが、場合によっては離職するまで馴染めないということもあります。

プレッシャーが大きい

環境はもちろん実力で買われたためにその期待に応えなければいけないプレッシャーも存在します。

それは待遇が大きくなれば比例して大きなものとなり、押し潰されて実力相応の結果を出せないことになってしまう場合もあることを知っておきましょう。

まとめ

相手から誘われるというのは思った以上にいいことばかりではありません。営業は人と人との関わりであるため思った以上にデメリット、リスクに繋がることがあるのです。こうした勧誘もある意味ではこちらが買われる立場であり、ここで簡単に釣られるようでは「その程度」と見られることにもなります。

しかし一方でヘッドハンティング・スカウトが来るということは自分の営業としての実力が一定以上になった証明でもあります。受ける受けないは自分と相手次第ですが、実力で話が来たとなればそれは素直に喜ぶべきことでしょう。受けなかったとしても今後の転職する際の「実績」として活用することができます