企業によっては筆記試験がないこともありますが、それでも就職と転職、どちらも避けられない試験として面接が存在します。面接は企業側がこちらの人となりを見るテストでこれの内容によって採用されるか決まるのです。
転職の場合は就職で面接の体験はしているためその独特の空気や進行に関しては既に理解しているでしょう。しかし転職となると就職の時とは面接の内容も変わってきて就職での対策は通用しません。そのため転職は転職なりの面接対策を考えておかなければいけないのです。
もちろん営業の面接となれば他の職種とはまた面接の内容も変わってきます。ではその営業の面接はどのように対策を取ればよいのでしょうか。
面接前の心構え
面接の内容自体で結果は決まりますが、その面接は質問の受け答えをする前から始まっているといってもいいでしょう。面接を受ける側は始まる前に幾つかの点について気をつけなければいけません。
服装、身だしなみについて
営業の職種に限った話ではありませんが、面接での服装は男性、女性問わずにスーツで受けるのが基本です。企業によってはスーツ以外でもよいという場合がありますが、そのようなところはほとんどないのであまり気にしなくていいでしょう。
スーツの見栄え
服装はスーツが基本ですが、だからといって単にスーツを着ればそれでいいわけではありません。そのスーツも手入れをしていない状態だと見栄えが悪くなってしまい、その場合には見た目で相手の印象が悪くなってしまいます。そのため面接前にスーツに問題がないかどうか確認しておきましょう。
スーツに問題があった場合には手入れをしなければいけませんが、その度合いによってはクリーニングに出す等短時間で解決できないケースもあり得ます。そうなれば面接に間に合わなくなってしまうので確認は面接前よりも転職活動をしている時にしておいた方がいいのです。
靴も忘れずに!
スーツはもちろんですが靴の確認も忘れてはいけません。靴は目立ちにくい部分ではありますがそれでも何か問題があれば嫌でも目立つ箇所へと変わります。
スーツは大丈夫なのに靴でマイナスの評価にならないため、スーツと同じく事前の確認をして手入れを忘れないようにしておきましょう。
髪型などの身だしなみ
服装が大丈夫であれば今度は自分の状態を確認することになります。髪の毛は整っていないと意外に目立ってしまうため男性、女性共々しっかりと整えて邪魔にならないようにしましょう。
女性の場合は邪魔、鬱陶しく見えるケースもあるため、その場合はまとめる等しておいた方がいいです。
女性の場合は問題ないですが男性の場合にはヒゲに気をつけておく必要があります。ヒゲの状態によっては不潔なイメージを持ってしまう印象がありそれは営業という対人の仕事では致命的なものです。面接前に必ず剃っておくようにしましょう。
企業までの進路を確認
当たり前ですが面接において遅れるという行為は問題外です。遅刻をしてしまえば何かしら特殊な例外はあったとしても基本的には一発で不採用という結果になってしまいます。
普段から足を運ぶ場所に企業があればいいですが、初めて行く場所にあるというケースも珍しい話ではありません。
普段行かない場所にある場合は予め企業の場所を確認してどのように行くか、どれくらい時間がかかるのかを確認しておきましょう。実際に行く場合には時間に余裕を持っていけるようにする必要があります。しかしあまり早くても迷惑がかかってしまうため、10分前を目安に到着を考えるといいでしょう。
始まりは挨拶から
面接では最初に挨拶から始まりますが、この挨拶も面接での評価に影響してくる一環です。挨拶の仕方1つで採用と不採用に分かれるという場合もあり得なくはなく、挨拶の時も気を緩めずに対応する必要があるのです。
この挨拶に関しては職種が営業であっても他と同じどころか就職の時と同じであるため、場数を踏んだ方はそこまで苦労はしないでしょう。しかし同じであるが故に驕ってミスをするという可能性もあります。気を緩めないために経験者も復習を兼ねて一連の行為を確認しておきましょう。
入った後は扉を閉めて相手側の向いてお辞儀をしますが、このお辞儀は45度を意識して下げるようにしてください。
お辞儀の後は椅子の前まで行き自己紹介をして相手からの指示があったら座るようにします。
この一連の動作は最初だけでなく最後も同じであり、こちらは椅子から立った後にお辞儀をしてその後は反対のように行動すればいいです。
営業の面接でよくある質問
面接の対策として一番のポイントになるのはやはり相手からの質問にどう答えるかという部分です。服装や挨拶まではマナーとして一通り形式が決まっているのでその通りにすればいい話となります。
しかし、この質問と答えに関してはテンプレートの回答はないため自分で考えるようにしなければいけません。
職種にもよりますが面接は基本的に必ず聞かれる、よくある質問というものが存在します。そのためその部類に入る質問系統に関しては面接前に予めどのように答えておくか考えておいた方がいいでしょう。
営業の面接でよくある質問は以下のようなものがあります。
- 志望動機
- 自己PR
- 営業への転職理由
- 前職について
- 以前の仕事の経験談、失敗談
- 営業での自分の強み、弱み(長所と短所について)
- 当社が成長するうえで必要とされるものは何か
- 今後のキャリアプラン
- 希望の年収
- 他に受けている企業はあるか
- 気になったニュース、最近読んでいる本といった仕事以外の質問
志望動機と自己PRは必ず聞かれることになり、他も営業という職種において出る可能性が高い質問です。
しかし企業によっては「ありきたりな質問」では答えられると考えてあえて他とは変わった質問をしてくるということもあります。こうした質問は大抵が「定型文での答えを用意していない質問でも適切に答えられるか」という意図が存在するのです。
何でもかんでも予め用意しておくと、まるで暗記をしたかのような答えになってしまいます。そうなればその意思が相手側に伝わりにくくなり印象や効果が薄くなってしまうでしょう。そのため質問の答えは用意するというよりは、自分の考えをまとめておくという形で考えておいた方がいいのです。
志望動機
志望動機は履歴書にも記載する項目ですが、相手側は履歴書通りの答えを求めているわけではありません。そのため履歴書通りに答えればその時点で相手からの印象は薄くなってしまいます。基本的にこの質問は履歴書に書けなかった詳細的な部分の答えを意図しているのです。
対策としては履歴書の志望動機を見て、そこからどのくらい話を膨らませるかを考えておいた方がいいでしょう。膨らませるのはもちろんですがその一方でここの企業である理由も交えて答えるといいでしょう。
自己PR
こちらも内容としては変わらず履歴書のを膨らませた形となります。しかし志望動機とは違ってアピールであるため話が長くなってしまう可能性が高いです。面接での質問に対する返答は長くても3分程度に抑える必要があります。
営業の場合はこの自己PRで相手が何かをアピールする時実際にどのような説明をするかを見る場面でもあります。その理由で他の職種以上に要点を捉えて如何に分かりやすく、短い内容にできるかがポイントになるのです。履歴書と同じようにどの内容を前面に出して、どの内容を切り捨てるか整理して考えましょう。
人の話す早さには違いがあるためどれくらいかかるかは実際に話してみなければ分かりません。自己PRを面接前に考える時は実際に話してどれくらいかかるかを確認しておくといいでしょう。
営業への転職理由
一見志望動機と似たような印象を受けますが、こちらは企業というよりは営業という職種を目指した理由を聞かれる質問になっています。そのためこの質問がされる対象は基本的に営業未経験の方となっていますが、仕事の内容が違う営業へ転職した場合に聞かれる可能性もあるのです。
この質問の意図は営業へと転職して仕事をしていく覚悟を見極めることです。この意図があるために実際の営業とイメージがかけ離れた答えをしてしまうと、その時点で営業に対する認識不足が露呈されて不採用となってしまいます。この質問は転職するためにどれくらい情報を調べたかを判断するものにもなっているのです。
当然営業へと転職する上での利点も絡めて答えるようにしましょう。逆に言えば営業の利点について考えてそこから理由を膨らませて内容を考えるのがいいです。
前職について
転職であれば前職についての質問は必ずされることになります。仕事は全てを答える必要はありませんが、明確に説明できないと「仕事を忘れる人間」として大きなマイナスになってしまうので、必ず確認をしておきましょう。これは経験者、未経験者どちらにも言えることです。
経験者の場合は以前の営業の仕事について聞かれる形式となります。長々と答えるのは自己PRと同じでよくないので、簡潔に要点を抑えて分かりやすいように説明しましょう。相手も営業の企業であるため用語が通じるために簡潔に説明するためには用語も交えるといいです。
未経験の場合は自分の仕事を話すことになりますが、自分の仕事と相手の企業によっては用語が出されても分からないケースが出てきます。相手に分からないように話をするのは営業という仕事において致命的であるため、見直して言葉を分かるように直す必要があるのです。
ネガティブな内容は控える
前に働いた企業についてネガティブな内容で伝えてはいけません。転職の理由は人それぞれですが中には必ずしもいい理由で転職しようと考えなかった人はいるでしょう。営業に限らずネガティブな内容は印象を悪くしてしまいますが、特に営業は人付き合いが大事な部分もあり余計に致命的なものとなってしまいます。
前職について何を聞かれるかは相手の企業側によりますが、とにかくネガティブに取られてしまう回答は避けるようにしましょう。
以前の仕事の経験談、失敗談
必ず聞かれる質問ではありませんが、仕事の内容に派生してこのような質問がされるケースも少なくありません。この質問の意図は自分の仕事に責任、信念を持って取り組んでいるかどうかです。実際、仕事に取り組んでいるのであれば経験も失敗も自分の記憶として覚えていることでしょう。
営業の場合は対人ということもあって、他の職種以上に失敗談は多くなってしまうことでしょう。喜ばしいことではないですが、そのために答える材料には困らない人が多いと思います。しかし失敗談は当然ですが自分の失敗、マイナスの結果を答えることになるためそのまま答えてはマイナスで終わってしまうのです。
失敗談の時は話した上で、その失敗をどのように自分の糧としたか答えるようにしましょう。実際に営業の仕事は失敗することは珍しくはないので、企業としても失敗した後にどうするかという答えは採用の可否を決める上で重要な情報なのです。
経験談に関しては特に自分の印象に残った仕事について語るのが基本ではあります。営業の場合は大きな契約を勝ち取ることができた、という事例の他に対話する上で印象に残った人物がいればその件に関して答えてもいいでしょう。人物絡みの内容であれば「この人は相手、人間をよく見ている」というアピールにも繋がります。
営業においての自分の強み、弱み
自己PRと似たような質問ではありますが、こちらは単なるアピールと違ってマイナスのポイント、弱みが聞かれる可能性もある質問です。この質問は営業をしていく上で自分を活かせる強みがあるか、気をつけるべき弱みを自覚しているかを意図しているものになっています。
経験者であれば営業の仕事をしていく上で自分がどのようなところが強い、弱いか理解していることでしょう。経験談や失敗談と同じように今までの仕事の内容から考えて整理するといいです。
未経験の場合は営業の仕事をしたことがないので具体的には判断することができないでしょう。未経験だとこの質問が出ない可能性もありますが、場合によっては今までの仕事から本人がどう考えているか、という意味でしてくることがあります。自己PRと同じように以前の仕事から考えてみましょう。
当社が成長する上で必要なもの
未経験ではなくある程度営業の経験を積んだ人間がされる可能性がある質問です。この質問がされるということは自分達の企業の成長に期待している人材であることの表れでもあります。これに明確に答えることができれば採用される可能性はほぼ確実になると考えてもいいでしょう。
しかしその分この質問に答えるのは容易なことではありません。面接を受けている企業の情報はもちろんですが、他の企業や営業の業界についての情報も頭に入れておかなければいけないからです。普段から営業の業界に関わる情報を集めておくことがかかせません。
これに関しては企業に応じて正解は大きく変わってきます。企業が何を目指しているのかも含めて今までの経験から答えを考えてみましょう。
キャリアプラン
この質問は仕事をしていく上で将来的なことも視野に入れて考えているかを見るためのものです。特に営業は職種として転職するのが当たり前となっているため、この質問が出てくる可能性は極めて高いといえます。どの程度の期間が聞かれるかは相手次第で10年先の将来についてを聞かれる場合もあるのです。
先に書いたように営業は転職が当たり前の職種となっています。しかし正直に転職を前提に考えていると答えれば企業は自分達が踏み台であると見られていい気分にはならないでしょう。転職前提に考えること自体はよいですが、それをオブラートに包んで隠しつつ答えるようにしなければいけません。
上を目指すのは良いのですが、高い地位を目指すといった突拍子もないプランを話すのは内容としてはあまりいいものではないです。何かを目指す場合には、どのように努力をしていきたいかも踏まえて答えるようにしましょう。
しかし経験者はそれでよいですが、未経験の場合は仕事をしたことがないので具体的に答えるのは難しい話となります。聞く側もそれはある程度理解しているためどの程度を考えているかを聞くための質問となっているのです。ステップアップを前提にして今考えていることを相手に伝えるといいでしょう。
希望の年収
年収をどれくらい求めているかを聞くのと同時に自分に見合う金額、営業の相場がどれくらいかを理解しているかを見る質問となっています。適切な金額を答えるために事前に営業の相場がどれくらいか調べておきましょう。
相場もそうですが適切な金額を考えるのであれば、経験者の場合は以前の企業での年収と比較して考える必要もあります。営業は成果によって金額も変わる世界であるため自分の現時点で実力と踏まえて考えて、時には強気に出ることも大事です。
経験者の場合、企業によっては「年収が下がってしまう」という質問をしてくれることがあります。下がってもいいかどうかを判断するのは本人の目的次第です。よいのであればそのまま了承して、問題がある場合には自分の希望を相手の無理のない範囲で伝えるようにしましょう。
他に受けている企業について
営業の転職となれば1つではなく複数の企業を受けているというケースも珍しい話ではありません。企業側としても他にどのような企業を受けているか知りたいのは当然のことです。複数受けること自体はおかしい話ではないので正直に答えて問題ないでしょう。
しかし気をつけたいのは営業の転職であれば答える企業は営業に関わるところに絞ることです。他の職種の企業を挙げると「営業を本当に目指しているのか」と疑問を持たれてしまいます。絞った上で名前は出さず「このようなところを受けている」と伝えましょう。
見方を変えると営業の転職を目指すのであれば、この質問での答えに説得力を持てるよう応募する企業は絞った方がいいという話になります。
仕事以外の質問
優先順位は低いですが高確率で幾つか聞かれる質問です。この質問の意図は仕事以外のプライベートでも何も考えずに生活していないかを見極めるためのものとなっています。
営業においては仕事での話以外も必要となるケースが多々あるため、意外と重要性が高い質問なのです。
気になったニュース
新聞、テレビ問わずに気になったニュースを聞く質問で業界の情報が大事となる営業においては出やすい質問です。
最近というだけでなく今日の朝と期日が限定されて出される場合もあるので、普段からニュースを確認する癖をつけておく必要があります。当然理由も聞かれるので企業の性質も踏まえた上で自分の考えを答えましょう。
最近読んだ本
基本的に面接においての本というのはビジネスタイプの書籍が推奨されます。営業となれば営業に関わる本を挙げるのが効果的で未経験の場合は学習しているアピールにすることができるのです。
当然内容、感想について聞かれるため実際に読んでいない本を挙げるという嘘は通用しません。
逆に言えば普段からそのような本を見ておいた方がいいという話にもなるのです。
面接担当者にする質問の仕方
面接をする上で必ず最後に聞かれるのが「何か質問はないか」ということです。今までとは一転して自分が質問する側となる時間であり、どのような質問が出るかによって相手の評価も変わってきます。実際に面接をして何かしら疑問点が出ることは珍しくないのでそれを聞いてみましょう。
中には本当に質問がないと判断した方もいるかもしれませんが「ありません」と答えるのは面接において論外です。ここまで適切に答えてきたとしてもこの一言で落とされてしまう可能性は大いにありえます。ない場合でも質問をひねり出してみましょう。
質問もどのようなことを聞いてもいいわけではなく、待遇面ばかりを聞くのはマイナスとなってしまいます。営業の転職においては、営業の仕事は多種多様に分かれるため、その仕事に関わる確認の質問をするのが好ましいです。仕事に疑問があればもちろんその疑問を聞いてみましょう。
営業は目的のものを売り込む仕事になるため、時にはその内容について突っ込んだ質問をするのも大事です。場合によっては営業として販売しているもののニーズや目的も聞いてみましょう。深追いは危険ですが上手く聞き込めばこちらの熱意を評価してくれる可能性が高くなります。
未経験の場合は特に仕事に関わる質問を頻繁に行うようにしましょう。聞いておくことで実際に採用された際のギャップによる戸惑いを小さくすることができ、目的を理解して行動することができるようになります。
まとめ
事前準備が大事なのは確かですが実際に面接を成功させるには、どのような質問が来ても自信を持って答えることができる自分の考えを持つことです。単に「面接の対策」をすることだけを考えれば失敗する可能性は高くなってしまうでしょう。
経験者はまだいいかもしれませんが未経験の方の場合は営業職の面接経験がないため上手く答えられなくなってしまうケースも珍しくありません。しかし転職のチャンスは一度っきりということはないので、失敗したとしてもその経験を糧に次の面接へと繋げるようにするのがいいです。