基本的には子供が見るものですが、作品によっては大人すらも熱中してしまう夢のある世界であるアニメ。昔に比べると深夜アニメが多くなってきましたが、今でもゴールデンの時間帯や朝の番組で人気のあるシリーズが展開されています。子供達を早起きさせる口実に使っている人も多いでしょう。

そんなアニメもビジネスの世界であり、アニメ製作会社が作っています。ビジネスの世界であれば当然営業の仕事も存在するのです。では実際にアニメの営業はどのような仕事内容、求人事情であり、採用されるにはどうすればいいのでしょうか。

アニメの営業の仕事内容

視聴している側であれば分かるとおり、アニメはテレビで放映されて見るものです。制作会社側がどれだけアニメを作ったとしてもそれが電波に乗って流れなければ意味がありません。そのためアニメの営業はテレビ会社へと行きアニメの製作依頼を取ってくるのが仕事となります

単に取ってくるだけでなく自分達が製作しているアニメの宣伝をするのも仕事で、そこから他メディア、商品化等を促進するのも仕事です。現在ではアニメはテレビだけでなくOVAといったビデオで見るのも当たり前となっています。このOVAを出すためにビデオ会社に営業に行くのも仕事です。

アニメの営業の仕事はテレビやビデオ会社が中心になります。しかし中心はそうですが実際に仕事をするのであればそれだけでは済まさず商品化等のためにおもちゃ屋等に行ったりする必要も出てくるのです。それを含めると単なる映像会社だけで終わらず様々な企業へと営業へ行く必要があります。

海外の仕事もある

海外の人達が日本のアニメや漫画に興味を持つことが多くなりました。この現象から分かるように日本のアニメは海外でも放映されていて、この海外に自分達のアニメを放映させてもらうようにするのも営業の仕事です。そのためアニメの営業は海外を視野に入れた仕事もあります。

もちろん海外であるため語学力が必要となってきます。情報を追えば分かるように様々な国で日本のアニメが放映されているので、営業側も様々な国を相手にする必要があるのです。そのため英語に限らず他の言語を用いる必要も出てきます。

仕事としてはどうなのか

ネット上でもニュース等で挙げられて知っている方もいると思いますが、アニメ製作の仕事は過酷を通り越して地獄そのものな環境です。その上で若手の場合は薄給なので、本当に好きでなければやっていられないレベルになっています。正直「異常」と称してもいいでしょう。

アニメーターはこうなので、では営業の方の仕事はどうかというとテレビやビデオ会社だけでなく様々な企業に回らないといけないため簡単ではありません。生活していれば分かるように「アニメ」は生活の必需品ではないため、どうにか需要、価値があることを相手に伝えなければいけないのです。

企業によりますが残業も当たり前の環境になることが多く、下手をすれば徹夜も視野に入ってくるレベルになります。更にアニメ会社というのは現実ではないアニメに負けず劣らず変な人間もいるものです。一般良識があればよいですが、そうでない人間が上司になったら最悪そのものでしょう。

待遇や年収について

仕事の内容を見れば分かるように待遇なんていいわけがありません。残業が当たり前なのですが、残業代がないのも当たり前という世界となっています。これは業界がそうなので営業する人間も残業に関しては期待しない方がいいでしょう。

残業がこんなのであれば休日ももちろん期待することはできません。営業ではない他の職種では土日も休みなしで仕事をして、睡眠時間もほとんどないという話も出ていました。営業も人事ではなく、特に忙しい時期となれば想像を絶するような状況に追い込まれるでしょう。

これだけ過酷なのに肝心の年収自体は正直他の営業と大して変わりません。むしろ仕事内容と見比べるとあまりにも見合わないケースが出てくる可能性が高いです。もちろん全てのアニメ会社がそうとは言えませんが、悲惨な状況になる可能性が高いのが今のアニメ業界と考えてもいいでしょう

アニメの営業の求人事情

あまりの過酷さにアニメ業界は人手不足に襲われているところが多く、それ故に中途採用に限らず求人が掲載されるのも珍しい話ではありません。しかし求人は出せれるのですが、その一方で転職倍率は何故か比較的高めになることが多いのです。大手となると採用人数が多くても応募人数がそれを上回るのも珍しい話ではありません。

この人数の多さによる転職倍率は職種によっても異なり、営業であればまだ他と比べると倍率は下がって狙うチャンスはあるでしょう。しかし問題はその求人を出している企業であり、人手不足で出したとなれば採用されたとしてもその企業の環境に問題がある可能性が出てきます。

倍率がそれなりにあるので簡単に選べるわけではありませんが、選ぶのであればしっかりと企業研究をして調べておきましょう。ある日突然倒産というのも珍しい話ではありません。その上で応募して問題がないかを判断した方がいいです。

アニメ会社の危険性について

アニメ業界の仕事の過酷さはもちろんですが、危険性に関してはこれだけではありません。というのも名前を出すのは控えますが、近年あるアニメ会社がステルスマーケティング、ステマをしていたことが判明しました。それもまとめサイトを利用しての行為です。

そのまとめサイトもモラル的な観点から見てかなり問題のあるところであり、それもあって一時騒動になりました。この件からも分かるとおり、今のアニメ業界においてステマ行為は当たり前となってしまっています。これが未だに改善されず、やられている「狂っている」世界です。

もちろん全てのアニメ会社がこのような愚行を行っているわけではありません。この点も含めて「会社として問題」がないか調べるようにしましょう。モラルのない行為は犯罪を助長させることになるので、真摯に仕事をしていたいのであれば手を貸すような事態になってはいけません。

未経験と転職に有利な経験

求人の中に未経験であったとしても採用される可能性があるものは存在します。しかしこの業界の実状を考えると未経験とはいえ営業に飛び込むのは無謀の一言です。アニメの営業をやりたいのであれば、他の営業の経験を積んで営業というもの自体を理解しておいた方がいいでしょう。

仕事の経験に関してはアニメということで玩具や漫画、テレビ、ビデオといったそれに連なる業界の仕事経験があれば有利になる可能性があります。最もそれらの経験がある場合にはアニメの営業よりそれらの営業を狙った方がいい話になりますが。

アニメの営業に採用されるには

アニメの仕事に携わるのであればアニメに関して興味があればいい、と考えられがちですが残念ながらアニメに「だけ」興味を持っているようでは駄目です。実際に営業となれば様々な企業に行くことになるので、単なるアニメの知識しかない人間では簡単にあしらわれてしまいます。
必要となるのは様々な経験、情報です。

内容に関しては問わないのでとにかく様々な情報を集める、もしくは集められるようなアンテナの引き方してみましょう。この情報を集める力がなければアニメの営業をやってはいけません。アニメの営業に資格は関係ないので何かの資格を取得しようと考えるより、とにかく情報を集め、経験を身に付けるようにした方がいいです。

向いている人について

正直アニメ業界は異常といってもいいので、向いている人といえばアニメに関わるのが好きで他を犠牲にしてもいいといえる人くらいです。単なるアニメが好き、興味があるからという人はその「現実」に打ちのめされて逆に嫌いになってしまう可能性もあります。

履歴書、職務経歴書について

アニメ業界に入りたいと感じる方の大半はアニメが好きで入りたいと考えているでしょう。しかし営業となれば単に好きだけではアピールとしては説得力が欠けてしまいます。アニメの営業は様々な企業に回るのが仕事であるため、どのような企業相手にも契約を勝ち取れる戦力が必要です。

実際に営業の経験がある人であれば自分が今までどのように営業で相手との信頼を勝ち取ってきたかを記載しましょう。未経験の場合は自分が今までの仕事で信頼を勝ち取るためにどのようなことをしてきたかを記載するのがいいです。どちらを書くにしても自分がどう貢献、活躍したいかを書くのを忘れてはいけません。

職務経歴書に関しても同じように自分の経験を書いてアピールするようにしましょう。履歴書だけではスペースの都合があるので、書けないと感じたら職務経歴書の方に回すといいです。

気をつけたいのはアニメの仕事をするからといって履歴書や職務経歴書にアニメのことを細かに書かないことです。アニメ業界なので書いても他の職種より印象がマイナスにはなりませんが、あまり書いているとアニメの内容ばかりで肝心のアピールポイントが書けなくなってしまいます。

面接について

先にも書きましたがアニメ業界というのは変な人間も多いです。そのため面接においてその「変な人間」が担当すると突拍子もない変わった質問が出てくる可能性があります。どんな質問が出るかは相手次第なので、これに関しては質問から答えを考えるしかありません。

アニメの世界ということでアニメに関わる質問が出てくる可能性が高いです。これに関してはこちらのアニメに対する情熱を見極めるためにしてくることもあるので、どのような質問が来ても答えられるように対策しておきましょう。

営業の仕事ということで経験があるとその営業の経験に関する質問が出てくる場合があります。経験があれば出る可能性があると予測できるので、相手がアニメ業界の人間ということも踏まえて適切な答えを用意しておくといいです。

まとめ

正直アニメ業界への営業は待遇や年収を度外視して本当にアニメの世界に関わりたいと本気で思っている人向けです。それ程業界としては異常で、待遇や年収を考えて選ぶのであれば真っ先に転職先から外す程のものになっています。例え転職したとしても、今の業界のおかしさを考えると業界が廃れる可能性もあるのです。

問題なく関わりたいと考えるのであれば今後の業界の改善を期待するしかないでしょう。