引越を個人でするのは大変であり、引越会社に任せるという方が大半でしょう。その引越会社も単に依頼を受けて引越しのサポートをするのではなく営業の仕事もしているのです。では実際に引越会社の営業職とはどのようなものであり、転職においてはどのような状況なのでしょうか。

引越会社の営業の仕事内容

引越会社自体の仕事は引越しを考える人の依頼を受けてその引越しの手伝いをすることです。引越しの手伝いは家の中から荷物を運び出すのはもちろん、運び出した荷物を引越先へと運んでいくこともします。このように一連の流れがあるため引越会社の仕事はプランに沿って動くのです。

このプランを顧客に提供するのが引越会社の営業の仕事となります。しかし仕事の形式としては訪問して突撃するのではなく、引越を申し込まれた顧客の元に行って見積もりをするのです。プランを説明して見積もりをし、相手が了承をすれば契約という話になります。

一般的に引越といえば個人ばかりが考えられがちですが、企業も移転という言葉があるように引越という概念は存在します。そのため引越会社にもよりますが法人相手に営業をするケースもあるのです。法人の場合は当然会社が相手になるため難易度は上がると考えていいでしょう。

引越会社の営業は件数ではなく営業に行ってどれだけの割合で契約をもらえたかによって成績が決まります。多く営業するより少なくても契約率が高い営業マンの方が実績が高くなるのです。もちろん件数が増えて契約成立の割合も増えればそれだけ優秀であると証明できます。

しかし問題として引越を生業とする業者は多数ありライバルも多いです。そのため契約成立したとしてもキャンセルが出るという事態も珍しくありません。キャンセルが出れば当然その件に関しては契約なしと見なされて、決定率が下がってしまうことになります。

相手からの申し込みがあった後に仕事をすることになるため普段は待機していることになります。そういう意味では申し込みがどれくらいあったかで仕事量も変わってくるといえるのです。待てばいいために営業としての難易度は他と比較すれば低い方であるといえます

相手から申し込んで提供するために最初から相手が引越というサービスを利用しようと考えている前提なのもポイントです。そのため確実ではありませんが契約が成立される可能性も高くなっています。

しかし難易度が低いということはどこの企業で仕事をしたとしても待遇や年収自体が大きく変わることはありません。実績によって変わるといえど引越会社では年収千万など夢のまた夢の話です。これに関しては難易度が低いのはもちろん、引越自体に継続性がないことも原因ではあります。

難易度こそ低いですが引越がよくある時期、繁盛記と呼ばれる時期になれば当然営業の仕事も多いです。そうなれば仕事時間も長くなって朝から夜まで働くのも当たり前となるでしょう。しかしこれだけ働いたとしても先の待遇や年収が大きく変わることがないという現実があります。

引越会社の営業の求人事情

引越会社の求人倍率はそれ程高いものではありません。最も情報を追っている方でいれば分かると思いますが引越会社というのは実態的にブラック企業であることが多いです。営業ではなく引越の手伝い自体もネットを調べればその惨状を目にすることができるでしょう。

そうなれば募集する人も少なくなり必然的に競争率が下がります。何より営業の経験がある人間からすれば引越会社を選ぶことはあり得ないの営業の求人も倍率としては高くなく簡単に選考に通ることができるでしょう。大手でも無名より高くなるといえど、他の職種と比べればそこまで高くはなりません。

特に忙しい時期になれば人が集まらなければ困るため中途採用も当然のように行われています。というよりそうでなくても中途採用自体積極的に行われているので中途採用を狙うチャンスはあるのです。そういう意味でも求人を探して応募する難易度は低いといえます。

仕事内容を見れば分かるように営業職の中でも未経験の方に向いている仕事です。先に書いたように経験者が選ぶことがないので未経験でも簡単に応募することができます。内容の関係で対話もそこまで高度なテクニックを必要としないので能力があまりなくても採用される可能性は高いです。

これに関しては他の業界、他の職種からの転職でも変わりません。最も営業としてテクニックはそこまで必要なくても対話して契約成立させる必要はあるため、その対話に関係のある業界、職種であれば多少は有利になるでしょう。人柄がポイントになるため、それが決め手となる仕事の経験があればより可能性は高まります。

しかし問題として引越会社のほとんどはブラックであることです。中小だけでなく大手のほとんどはその実態はブラックだと考えておいた方がいいでしょう。現に有名な引越業者であるアリさんマークのニュースに関しては記憶が新しく、知らない人にもその実態が見せつけられる結果となりました

当然大手がこうであれば他の引越業者が何か腹を隠していても不思議ではありません。何か問題が起これば運営にもそれは関係してきて最悪の場合は倒産、それに近い状態になることもあり得るのです。それは大手も関係なく、逆に悪化して労働環境が厳しいことになるケースもおかしな話ではありません。

求人を選ぶのであれば何かニュース、不祥事が出ていないかを確認した上で選ぶようにしてください。大手自体がこのようなニュースを出してくる以上、おすすめとして挙げられる求人は何一つないので自分で考えて判断するように必要があります。

不祥事やニュースはもちろんですがブラックがほとんどということは求人にも嘘が織り交ぜられている可能性が高いです。求人に掲載されている情報を必ず信じるのはやめて、体験談や口コミも加えて真実かどうかの判断をしましょう。現場作業員の問題ばかり目に見られますが営業も例外ではないのです。

更に残念な話として出してもらえばブラックでないところを探すこと自体が難しいのが引越業界の実態です。本当に引越業者での営業をするのか、求人を探すのか、この点も考えて行動しましょう。

引越業者の営業で採用されるには

求人事情と仕事内容で書いたように未経験者向けの営業職であるためそこまで難しく考える必要はありません。しかし営業として最低限の対話はしなければいけない以上、人と話すことができない等の営業に向いていないとされる人は難しいでしょう。

逆に営業に向いている、適正があるといえる人は仕事をするのに最低限な能力は備わっているので採用される可能性は高いです。そういう意味ではこの引越会社の営業の仕事に向いているかどうかは営業の仕事自体に向いているかどうかの判断になるともいえます

営業の仕事に自分が向いているかどうかを考える方はこの引越会社での営業の仕事で考えてみるといいでしょう。営業の適正、向いている人がいいのはもちろんですがそれを前提として引越会社の営業として考えると「勢い」のある人間が求められます。

引越会社での営業は既に用意されているプランを提供するものであるため説明で他との差別化をするのが難しいです。そのため相手を納得させられるように勢いよく説明をして相手にその気にさせられることが重要となります。そういう意味では作業員と同じく体育会系が有利ともいえるでしょう。

他にも引越会社で営業をしていくのであればメンタルが強い人間が求められます。求人事情にも書いたように引越会社はブラックばかりでアリさんマークの件もあってその悪印象は一般人にも届いているでしょう。更にこの引越による営業にも過去に様々なトラブルが出ています。

今ではネットが当たり前の時代となるため、ネットを通じて引越業者の「悪行」を理解している人も多い可能性が高いです。そうなれば顧客だけでなく別の方面からも罵倒されるケースが出てくるでしょう。更にブラックということもあって上司から小言を言われる可能性も高いです。

こうした「悪口」を言われても挫折しないように強いメンタルを持つ必要があるのです。資格やスキルに関しては営業に関係のある種類のを持ち合わせておけば有利にはなるでしょう。しかしそうしたスキルを持っているのであれば営業でも別の業界に行った方がいいことが多いです。

履歴書、職務経歴書について

引越会社の営業は経験を積んで次の営業の仕事へステップアップするという位置合いで転職するのが基本です。しかし履歴書の志望動機で「踏み台」にするようなことを書けば企業側としてはいい気分になれないでしょう。ステップアップをすること自体は向上心があってよいですが、踏み台にするような印象は隠して書かなければいけません。

引越会社の営業は人柄がポイントになるため、その人柄をアピールできる部分があればそれを交えて書くのがいいでしょう。以前の仕事で結び付けられることがあればそれを加えてもいいです。大手の企業であればその大手で働くことでプラスになることをアピールしてもいいでしょう。

逆に志望動機が思い浮かばない場合は引越会社での営業をするのはやめた方がいいかもしれません。先に書いたようにステップアップで転職するのが基本なので無理に転職先へと選ぶ必要はないのですから。

転職なので職務経歴書も書くことになりますがこちらは以前していた仕事をまとめればいいです。その際には上手く整理して書くのがいいでしょう。というのも営業の仕事は単に販売するだけでなくその結果を処理する仕事もあり、整理して書けばその処理力のアピールになります。

面接について

作業員として肉体労働をするのであればそれに関する質問がされますが、営業の場合はそのような質問が出ないことが多いです。企業や状況によっては最終確認という意味合いで面接をすることもあり、この場合は特に唸って考えなくても問題はありません。

面接で何か聞かれた際には面接において言うとマイナスになることだけを考えて答えるようにすればいいでしょう。営業に関しての質問が来ても答えられるように知識や情報は頭に入れておいた方がいいです。

引越会社は悪いイメージがもたれているために「自分達の会社にどのようなイメージがあるか」という質問が出てくるケースもあります。悪い企業であってもストレートに答えるとその時点でアウトなので、そこは言葉を選んで答えるようにしましょう。

全体的に他の職種に比べると面接の難易度自体はそこまで高いものではありません。それでも基本ができていないと落とされる可能性が高くなるため面接での対策については事前にしておきましょう。

まとめ

引越会社の営業は未経験がするものでありますが、その一方で長く続けても経験や実績を積むことができない仕事でもあります。そのため営業の仕事の雰囲気を掴むために利用して、営業をそのまま続けるのであれば他の営業職の転職を前提にした方がいいです。

一方で引越会社のほとんどがブラックであるのは覆すことができない問題であるため、転職するのは一種のリスクも背負うことになります。営業の仕事は他にも多数あるため本気で将来的に営業をしていくのであれば引越会社の営業は選ばない方がいいです。