投資をしている方であれば証券会社はお世話になるところで、投資家の注文、売買の手助けをします。一言で証券会社といっても仕事の内容は一種類ではなく取引対象の仲介をすることもあれば、投資家に売買の催促、自分達自身が売買を行うというものがあるのです。

そんなお金が大きく動きやすい証券会社の営業はどのような仕事の環境、求人事情になっていて、採用されるには何が必要なのでしょうか。

証券会社の営業の仕事内容

証券会社の営業は投資対象となる金融商品の提供、投資に対する資産運用のアドバイス等が仕事になります。個人も法人も対象になる仕事で個人の場合は金融商品の提供が多いですが、法人は主に資産運用に対するアドバイスが主となるのです。新規開拓は売買の関係で個人の方になります。

最近ではネット証券というものを取り扱う証券会社の存在も当たり前です。こちらではネットがテーマとなるためIT系と同じくトラブルシューティングやサポートを主体にして営業します。ネットを使う都合で電子メールも多用してアプローチ、対応をしますが電話をしないわけではありません。

と、簡単に書きましたが証券会社の営業は一言で「地獄」といってもいい内容です。検索エンジンで「証券会社 営業」とかければ実際に仕事をしたことがある、している人の悲鳴を見かけることができるでしょう。その生々しい声が見える程証券会社の営業は厳しいのです。

営業にはノルマが付き物ですが、そのノルマが尋常なものではありません。証券会社によってノルマは変わってきますが、見たら卒倒してしまいそうな程の目標が突きつけられることが珍しくないのです。ノルマが厳しいということは労働時間が長いのも当たり前で、10時間越えることは珍しい話ではありません。

証券会社はブラックという噂がされる程、営業職の中でもストレスが溜まりやすい仕事内容であるといえます。投資は損をする可能性もある関係上、顧客相手に罵倒されるケースがあるのは当たり前の光景です。そこに上司からの罵倒、罵声が加わりノルマが達成できなければより強力になります。

ストレスを感じない日はないと断言してもいい程の環境で仕事となるのが証券会社の営業というものです。それこそ比喩表現ではなく胃に穴が空いてもおかしくはないレベルとなっています。

更に外資系となるとノルマが達成できなければ解雇に繋がることもおかしな話ではありません。解雇がなくてもこの厳しい環境であるため離職率はトップクラスに高いといってもいいでしょう。それこそ1年持つかどうかが境目といわれるレベルです。

しかし単に厳しい仕事だけであれば誰も就職、転職を目指そうと考えません。厳しい分それを達成した時の利益はかなりのものとなります。結果が出た時の精神的な喜びはもちろんのこと、成果を出した分自分の待遇も大きくよくなるのです。「お金を動かしている」という感覚も人によっては魅力的に感じる部分でしょう。

大きなお金が動くだけあって年収もかなりのもので若い世代でも千万を超えることは珍しい話ではないのです。若い世代でこれなので成果を出していけば数千万も夢ではないのが証券会社という世界となります。厳しいがその分の見返りがあるハイリスク、ハイリターンな職種、それが証券会社の営業と考えていいでしょう。

証券会社の営業の求人事情

仕事内容の都合で証券会社の営業は離職率が高いです。そのため求人自体も掲載される可能性は高く中途採用も当たり前となるため応募するチャンスは多々あります。しかしその一方で仕事の厳しさ、求められるものの多さがあるため転職倍率の高さが壁となって立ちはだかるのです。

大手と中小でも傾向は違い、中小の場合は人員補充も兼ねて転職条件を緩くしている傾向にあります。大手の方は過去と変わらず未だに狭き門として転職の難易度が高いです。しかしどれにしても仕事の厳しいを考えれば未経験で飛び込むのはかなり厳しい業界であることは間違いありません。

新卒で募集していることがあるため未経験でも参入できない職種ではありません。しかしその新卒でも入社して短期間で辞めてしまうという実態があるため、未経験で飛び込むのであれば貧欲さが必要となります。逆に言えばそれができないようであればやめた方がいいということです。

証券というお金の流れを取り扱う仕事であるため過去に銀行や金融といった仕事を経験している場合には転職が有利になる可能性はあります。しかし有利の度合いは実際にどのような仕事を経験したかがポイントであり、場合によってはほとんど利点にならない場合もあるでしょう。

求人の選び方に関しては正直どこを選んだとしても地獄が待っていることは変わりありません。しかし外資系かそうでないかでも環境は変わってきて外資系となればより厳しく、高い能力が求められます。更に外資となると理不尽の度合いも高くなるため安定性にも疑問が出てくるのです。

ネット証券とそうではない証券会社でも営業の内容が変わってくるため、どのような証券会社で何を取り扱っているかの確認もしておきましょう。特に取り扱っている物の理解は重要で、これを理解しないで営業の仕事をすることはできません。

証券会社の営業に採用されるには

ノルマがきついというところから分かるように営業職の中でも特に有能なコミュニケーション力が求められます。相手と上手く交渉を進めるのはもちろんですが何よりも相手を見る目が重要です。相手を見る目があってこそ本来必要のない金融商品を提供することができます。

勤務時間から分かるように体力も一定以上求められるのです。体力に関しては日頃から鍛えていないと付かないので証券会社の社風も加えて体育会系が有利といえます。営業自体体力がいる仕事なのはどこも同じですが、証券会社を選ぶのであればより一層鍛えておくようにしましょう。

当然のことながらストレスが非常に溜まりやすい職場であるため、ストレス耐性も必須です。「少しなら耐えられる」では話にならず、どのような苦境が来ても乗り越えられる程のメンタルの強さを持ち合わせなければいけません。逆にストレスが大丈夫ではないのであれば選ぶべき職種ではないといえます。

資格やスキルに関しては証券外務員は所持しておく必要があります。。というのもこの資格は金融商品を取り扱うのに必要なもので、証券会社にて営業を行うのであれば必ず所持していなければいけません。新卒であれば内定後に取らされますが、転職は所持していること前提となるでしょう。

証券会社で営業を考えるのならまずは証券外務員の資格を取得することから始めなければいけません。一定の期間勉強すれば取得できるレベルなので、早めに勉強を始めた方がいいでしょう。

必須でない資格やスキルで有利になる種類としてはファイナンシャルプランナーがあります。資金計画を立てることができることを証明する資格で、これがあれば営業としての信頼度も高くなるのです。そのため採用する会社側の信頼度も上がります。

法人を相手にする場合は証券アナリストという証券の専門的な知識を所有している資格があると有利です。しかし取得にはかなりの難易度があり、時間も年単位で必要となります。本当に取得を目指すかどうかは自分の目的も考えて判断しましょう。

履歴書、職務経歴書について

履歴書の志望動機に関しては自分の目的はもちろんですが、証券会社の業界についても絡めて書くようにしましょう。実際に証券会社の営業でやっていくには簡単に折れない強い意志が必要となります。しかし意志だけでなく業界についての知識がなければ生き残れません。

志望動機はそうした「自分は証券会社の業界について知っている」アピールをするための場でもあります。逆に言えばしっかりと証券会社の業界について知識と情報を集めておくのが必須になるということです。何故その企業を選んだかの説得力を持たすために特徴も捉えておく必要があります。

証券会社の営業は離職率が高い世界です。そのため将来的なことも書けばすぐ離職することはないというアピールにもなるでしょう。最もその際には空想を感じさせるような現実味のない目標を書くのはいけません。

証券会社は大きなお金が動く世界であるため、利益を追求するのが当たり前です。そのため他の業界とは違って「社会貢献」のような文章は一切通じずむしろ逆効果に繋がってしまいます。特に転職だと他の仕事の経験があるのが理由で陥ってしまいがちなので気をつけましょう。

面接について

証券会社の営業の仕事は厳しいという関係で大抵は「厳しい時はどうするか」というように厳しさを乗り超える対策があるかの質問が出てきやすいです。質問としては「何故この業界を選んだのか」というのも同じように「厳しい業界なのに選んだのか」という意味合いでしてくることもあります。

これに答えられなければ採用はないと考えた方がいいです。実際に入社した際にそのようなモチベーションを保つ方法がないとやっていけないので、それも兼ねて考えておきましょう。当然金融や証券業界に関する知識を問う質問も出てきます。

時事を始めとしてどのような質問が出てくるかは相手次第であり、答えを想定して考えておくことは難しいです。これに関しては面接前に知識と情報を蓄えておいて、そこから自分なりの答えを思いついていくしかないでしょう。中にはそのまま意味を聞いてくることもあるため、用語等の意味も確認しておいた方がいいです。

本人に食いついてくる度量があるかということで圧迫面接をしてくる企業が出ても珍しくありません。圧迫に関しては下手に折れてしまえば負けとなってしまうので、何が来ても動じないような心持ちで挑みましょう。

まとめ

証券会社の営業は自分の努力で高待遇と高年収を勝ち取ることができる世界です。しかしその一方で常識が通じず、他の方面から見れば「異常」と取れるような環境で仕事をする可能性も高い世界でもあります。何も知らないのをいいことに押し付けて売りつける、といったことも「大手」が平気で行う世界です。

しかし気をつけたいのは証券会社の営業=悪ではないということです。実際中には証券会社の営業によって利益が出たという人も世の中には存在し、よい意味で達成感を得ることができるケースもあります。

ノルマ、結果が全てな世界とは言われますが営業の仕事をするのであれば自分にも相手にも利のあるように仕事をしましょう。利益を追求して他人を不幸にするようではそれこそ詐欺師、犯罪者と何も変わりません。信用は長く営業をしていく上でも大事なことです。