どのような製品も素材というものがなければ作ることができません。しかしその製品を製作するところが素材を全て用意するというわけではなく、他の企業からもらってそれを材料として製作します。この製品を作る素材を提供するのが化学素材メーカーです。
素材がなければ物を作ることはできません。そのことから化学素材メーカーというのは重要な存在であり、その営業もまた重要な存在となります。では実際に化学素材メーカーの営業の仕事内容、求人事情はどのようなものになっていて採用されるには何が必要となるのでしょうか。
化学素材メーカーの営業の仕事内容
仕事内容自体はシンプルでメーカーで製作している素材を必要としている企業に売り込むことです。しかし一言で素材といってもその種類は様々で、企業によってもどのような素材を取り扱っているか変わってきます。更に素材の需要も企業によって大きく変わってきます。
ゴムであればタイヤの素材として必要になるため自動車を始めとした乗り物を製造している企業、プラスチックであればペットボトルやビニール袋の製造を必要している企業が考えられるのです。このようにどの素材を取り扱うかによって担当する企業が大きく変わってくるのです。
素材を必要とするのは物を作る企業であるため必然的に法人相手の営業をすることになります。基本的に営業としてはルート営業の割合が多く、企業と関わりを持って情報を集め、そこから適切とされる素材の提供をしたりクレームに対応することになるのです。
化学素材は簡単に新しいものが作れるものではなく、それこそ年単位かかる世界となっています。これが理由で新しい商品を売り込むという機会はそこまで存在せず新規開拓も少なくなっているのです。
海外営業について
物を作る素材の需要は国内だけでなく当然海外にも存在します。というよりも近年では海外の需要の方が多いので、この仕事に携わるのであれば高確率で海外の仕事をすることいってもいいでしょう。海外での仕事といっても仕事内容自体は国内とそこまで変わりません。
しかし海外を相手にするとなると営業する本人自体もそのターゲットとなる企業が存在する国へと在住しなければいけません。場合によっては一年の大半を海外で過ごす、ということもあり得るのです。
仕事としてはどうなのか
素材を売り込むことになるのですが、実際には売り込むというより長い期間をかけて交渉して企業との信頼関係を築くことが目的となります。捻った見方をしてしまえば商売相手を失わないために仲を保つということになるのですが、素材を必要として利益を出すという意味では重要です。
そういう意味では営業としては如何に相手に信頼されるように交渉をするかが重要となります。この点は単に売り込むのとはまた違った営業力が必要となるため人によっても難易度は変わってくるでしょう。売り込む営業を得意としている人が携わったら、逆に実績が悪くなってしまうというケースもあるのです。
もちろん企業も様々で取り扱う素材によっても相手をする企業は変わります。中には「面倒」な企業もいて、それに当たってしまえば苦労することになるでしょう。このことからどのような企業を相手にするかで営業としての難易度も大きく変わってくると考えていいです。
化学素材メーカーの営業は少数でやることが多く、それ故に一人にかかってくる仕事も多くなります。商社が客の相手をしてくれることもあるので実際にはそこまでではありませんが多く回る必要があるので、その分仕事に対しての苦労はあると考えていいでしょう。
しかし新規開拓をすることはほとんどなく、見知った顔の顧客を相手に仕事をするため、そういう意味ではそこまで仕事が厳しいというものではないのです。
待遇と年収について
扱っている素材が変われば相手をする企業も変わります。そのことから分かるように年収や待遇自体も企業によって変わってくるのです。しかし基本的に企業によって変わってくるというのは大手の方が年収が高いのですが、化学素材メーカーに関してはその法則が当て嵌まらないのです。
もちろん大手であれば規模が大きいため一定の待遇、年収があるのは確かではあるのですが、その大手を上回る企業も存在します。逆に言えば大手にこだわらなくてよく、他でもチャンスがあるという話になるため待遇や年収を考える場合には大手にこだわるよりも、その企業の情報を見て判断するといいでしょう。
千万を超えられる可能性はありますが、基本的に実績が年収にほとんど反映されない世界ですので給料という面で自分の実績を体感できない世界ではあります。しかし少数の関係で自分にも大きな仕事が任せられる可能性はあるため、仕事内容としてはやりがいのある世界といえるでしょう。
また化学素材メーカーは離職率が低いとされている世界です。他の激務な営業と比べると安定感が極めて高く、素材がなければ物を作ることはできないため将来的に需要も減ることがないと約束されています。安定性を求めるのであれば候補として挙げられる職種です。
化学素材メーカーの営業の求人事情
仕事内容のところにも書いたように化学素材メーカーの営業をする人間は少数です。このことから分かるように求人の応募、採用される人数が少ないので探すのに苦労するでしょう。最も素材メーカー自体は少なくないので、探せば意外と見つかるというケースはあり、中途採用も掲載されていることがあります。
仕事内容のこともあってか未経験を採用しているところも多いため求人探しと採用人数の狭き門が存在する代わりに、未経験でもチャンスは十分にあるのです。しかし、当然のことながら経験者の方が有利にはなるため、不利な状況での転職活動になることは覚悟しておきましょう。
一言で化学素材と称しても取り扱う素材はメーカーによって変わります。それによって仕事の環境も変わってくるため化学素材メーカーの営業という部分だけでなく、どの素材を取り扱うのかも必ず確認をしておきましょう。しかし求人と採用人数のことを考えるとあまり選り好みはしない方がいいかもしれません。
他からの転職について
取り扱っている素材を利用した仕事の経験がある場合にはその企業について勝手が分かっているため有利にはなるでしょう。有利になるかどうかは取り扱っている素材自体であるため、転職先を選ぶ場合にはこの点も考えて選んでみるといいです。
もちろん扱う素材の知識が必要な仕事に携わっていればこちらも有利にはなります。少なくとも化学に対しての基礎や特徴が理解できていればそれだけでも十分なアドバンテージです。海外営業をする可能性が高いので、海外経験があったり英語を始めとした外国語を利用する仕事をしていた場合にも有利になる可能性が高いでしょう。
ブラックの存在について
基本的に化学素材メーカーの営業はブラックではないところが多いです。しかしブラックがないわけではなく、中には「企業自体はブラックとは言えないが営業の仕事はブラックじみている」と部署がブラック化しているケースもあります。
企業自体がブラックであればそれを避けるようにすればいいですが、全体がブラックではないところも多いため調べる場合はその点も含めてブラックかどうかの判断をしましょう。
化学素材メーカーの営業に採用されるには
化学素材に対しての知識が最低限必要にはなるため、その知識がない方は理科の学習をするところから始まります。しかし営業の仕事であれば深く学ぶ必要はなく基本的に高校レベルの知識でも問題はないため、そこをラインとして勉強するといいでしょう。
今まで文系で仕事をして理系に携わってこなかった人にとっては厳しいものになるかもしれません。その場合は本当に化学素材メーカーの営業をしたいかどうかを今一度考えて、勉強をするべきかどうかの判断をしましょう。ここで化学に対して勉強したいかどうかで適正があるかどうか判断できるのですから、
海外展開を考えているのであれば英語を始めとした外国語も必要となります。しかし海外勤務をする場合でも話せることが必須ではないというケースも珍しくないので、選択肢を広めることを考えないのであれば無理に身に付ける必要はありません。
向いている人はどんな人か
化学素材メーカーの企業は基本的に真面目な人間を欲しがっています。そのため仕事に真面目に取り組む人間はこの仕事に向いているといえるのですが、単に真面目だけではなくメンタル面が強いことも重要です。これに関しては海外への勤務が関係しています。
逆に海外に飛ばされる可能性が高いということは、そのように海外で仕事をしてみたいと考えている人も向いているといえるのです。基本的にはアジアが多いのですが、場合によっては聞いたことがない国に飛ばされることもあり、それも楽しむことができる思考が必要となります。
履歴書、職務経歴書について
志望動機を書くポイントは他と同じく「何故化学素材メーカーの営業なのか」の説得力を出すことです。気をつけたいのは化学素材メーカーであるということであり、単に「物作りに携わりたい」と書くだけでは「製品作るメーカーでいいのでは」と思われてしまいます。
化学素材であることの説得力出すには化学素材に対して勉強して、そこから内容を書くようにしましょう。応募する企業が取り扱う素材に対してのエピソードも含めるとより説得力は強くなります。そのためにしっかりとその企業が取り扱う素材に関して理解しておくといいでしょう。
海外展開をしているところも多いので、その海外に携わりたいというのもアピールとしてはありです。企業によってはこちらを重点的に攻めるのが効果的なケースもあるので、企業の指針を見てどういう内容にするか判断しましょう。職務経歴書はその取り扱っている素材に関わりのある仕事の経験を前面に出すのがいいです。
面接について
確実といっていいほど化学素材の仕事でも営業を選んだ理由が聞かれるでしょう。これに対しては自分が本当に何故そう思っているかを真摯に答えるしかありません。逆に言えばこれに答えられないようでは化学素材メーカーの営業に向いていないという話になるので、答えられるようにしておきましょう。
化学素材メーカーの面接にはなりますが営業ということもあってか意外にも化学素材に関する質問はそこまで出ません。というよりも営業の場合はそこまで尖ったような質問は出ず、基本的なものが多くなるでしょう。逆に言えばそうした基本的な質問には答えられるように対策しておきましょう。
海外の営業を考えている場合には海外に関わる質問が出てくる可能性があります。何が出るかは予測するのが難しいので相手の質問をよく効いてそこから自分なりの回答を導きましょう。
まとめ
どこの企業を選ぶかで仕事の環境もガラリと変わりますが、必要な知識は入社してから覚えればいいため真面目にやる気があれば未経験でも可能な世界です。安定感もあり、時には大きな仕事ができるので営業の転職先の選択肢としては十分に考えられる職種といえます。
海外展開をしているところも珍しくないので、海外に行きたいと考える人にもおすすめできます。最も企業によって大分変わってくるところもあるため、本当に安定して仕事をしていきたいのであれば、しっかりと情報を調べて相応な企業を選ぶようにしましょう。